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ゲームマーケット2021秋にて「three」を公開

ゲームマーケット2021秋、お疲れ様でした!
おかげさまでthreeは予想を大幅に超えて初日から完売、急遽自宅に在庫を取りに行く大盛況となりました。
私たちがお腹を痛めて生み出したthreeの魅力が、みなさまに伝わったことを大変嬉しく思っています。
店舗はイエローサブマリン様、ネットはボドゲーマ様に委託販売しておりますので、引き続きお買い求めいただけたら幸いです。
イエローサブマリン様 ボドゲーマ様 

3枚のカードから1枚選ぶだけなのに、その1枚が選べない。

「three」は、3枚のカードから1枚カードを選んで戦わせる、2人用の心理対戦カードゲームです。

ゲームマーケット2021秋の両日、ブース番号【イ28 / Hot Dog】で初公開します。

さて、突然ですが、赤のカードと青のカード、どちらが強いでしょうか?

そんなのわかるはずがない?

赤の方が強そうだから、赤のが強い?

青の方が水っぽいから、火っぽい赤より強い?

実はこの2つのカードをよーく見ると、どちらが強いかわかるようになっています。(答えは後ほど・・・)

ボードゲームが楽しめない

私たちHot Dogはデジタルゲームを作ってきたクリエイターチームです。

デジタルゲームを作ってきた私たちにとって、ボードゲーム、アナログゲームは

リアルなコミュニケーションの中で成立する感覚が、私たちにとってすごく新鮮でした。

さらに、ロジカルなゲームシステムが多いのもボードゲームの魅力だと思っています。

少しのゲームメカニクスでたくさんの面白さを提供してくます。

ですが、デジタルゲームに慣れすぎたせいか、

ボードゲームはルールがわかりづらい、説明書を読んでもよくわからない、

というのは私たちの率直なボードゲームへのネガティブな感想でした。

デジタルゲームの考え方をボードゲームに

デジタルゲームは、直感的に楽しめるようにフィードバックがあり、

ルールがよくわかっていなくてもプレイしながら覚えられるという利点がありました。

そこで、デジタルゲームのように、

ルールがよくわからなくても直感的に楽しめるボードゲームは作れないか

という命題を掲げて本作のthreeの制作はスタートしました。

世界観が見つからない

ほどなくしてゲームメカニクスは完成したものの、世界観が作れないという課題にぶち当たりました。

threeの基本システムは3すくみ、いわゆるジャンケン的なベースの上に成り立っています。

ジャンケンのモチーフ、グーチョキパーを使えば解決することではありますが、

チープな世界観が付随してしまうため、私たちはどうしてもこのジャンケンモチーフを使いたくなかったのです。

考えてみれば、3すくみというのは、ジャンケン以外で表現するのは非常に困難であり、

代替するモチーフといえば、火、水、森、がやっとかなぁという印象でありました。

言うなれば、

3すくみはモチーフが必ず必要であり、

そのモチーフは、文化的な共通認識がある前提の上でしか成り立っていないことに気が付きました。

悩み抜いたカードデザイン

そこで私たちは、ジャンケンに変わる、直感的で新しいモチーフを考え抜きました。

その期間、およそ半年。

例えば、ヘビ、カエル、ナメクジといった古来日本の3すくみモチーフも試してみましたが、

現代においては馴染みが無さすぎて直感的とは言えませんでした。

あれやこれやと試してみたものの、結局直感的なモチーフは発見できませんでした。

そこで発想を変えたのが、モチーフ自体をなくす、でした。

カードギミックにより、背景色が侵食し、相手のカードに突き刺すような視覚効果が得られることに気が付きました。

これであれば、3すくみの力関係を説明するモチーフは必要なくなり、カードの審美性も損なうことはありません。

3すくみを成立するために悩み抜いたこのカードデザインが、threeの大きな特徴の1つとなります。

なお、このカードデザインは、普遍的な仕組みとして、特許出願中(特願2021-176368)でもあります。

新しいゲームメカニクス

threeは、3すくみが成立しなかった場合、記載された数字で戦うことになります。

このとき、数字が小さい方が勝つというゲームルールを採用しました。

3すくみは非推移的であり、数字では強弱を表現できません。

AはBより強く、BはCより強く、CはAより強い。数字ではなく、こう表現する他ありません。

その3すくみベースの上に、推移的な数字での優劣を交えることで絶妙なバランスが生まれることに気が付きました。

赤の3で勝つ方が、赤の1で勝つより得点が高いのです。

さらに、数字が小さい方が勝つというルールにすることで、

得点の高いカードは勝ちづらく、得点の低いカードは勝ちやすい、という

リスク&リターンがうまく調和した、シンプルで新しいゲームメカニクスが成立します。

説明書がいらないゲームを目指して

私たちは説明書が好きではありません。

せっかくシンプルなカードデザイン、ゲームシステムができたのだから、説明書もシンプルにしたい。

そういう思いから、思い切って説明書から文字を省きました

私たちのように説明書が嫌いな人も、

説明書が読めないお子様も、

日本語や英語が読めない海外の方でも、

どなたでもゲームルールが把握できるように配慮しています。

もちろん、日本語、英語による説明書も同梱していますので、詳細なルールが知りたい場合も心配ありません。

パッケージデザイン

ご自宅のリビング、お部屋に馴染むよう、パッケージもシンプルに。

マット加工により高級感も加えました。

ルール解説動画

threeのゲームルールをより簡単に理解してもらうために2つの動画を用意しました。

基本的な戦い方

threeの基本概要、基本的な戦い方についての50秒ほどの動画です。

この動画でほぼthreeのルールは完結します。

詳しいゲームの流れ

threeの基本的な戦い方がわかっていただけましたか?

実際にプレイしながらゲームの進行について詳しく解説する、2分ほどの動画を用意しました。

ゲームマーケット2021秋のブースにて販売開始

ゲームマーケット2021秋、【ブース番号:イ28 / Hot Dog】で本作「three」の販売を開始いたします。

私たちがシンプルにこだわり抜いたthreeを、ぜひ実際に手にとってご覧いただけたら幸いです。

ゲームマーケットについての情報は下記URLよりご覧いただけます。

https://gamemarket.jp/booth/4185

では、11/20日、11/21日のゲームマーケット2021秋にて皆様とお会いできることを楽しみにしております!

ゲームマーケット2021秋は終了しました!初日で完売してしまうほど多くの方にお届けできました!
ネット通販でも販売していますのでぜひお買い求めください。

Hot Dogの由来

あら!こんな下の方まで読んでくれるなんて!

お礼にはなってないですが、私たちHot Dogというチーム名の由来をお話しさせてください。

名付けといえば、動物の名前か食べ物の名前が鉄板だと個人的に考えています。

Hot Dogは、なんとドッグでありホットドッグでありませんか!

ということでHot Dogに決まりました。

というのもありますが、それだけではありません。

ホットドッグのように片手間で楽しめるシンプルなボードゲームを目指そう、

ボードゲームといえばドイツ。諸説ありますがホットドッグもドイツが発祥だとか・・・?

そしてHot Dogはアメリカンスラングで「やった!すごい!」みたいな意味合いもあったりでポジティブな表現で使われます。

ということで、5つくらいの意図が混ざり込んだのが、この一見ふざけたような名前のHot Dogなんです。

決して語感や雰囲気で決めているわけではありません。

私たちはちゃんと意味を考えるボードゲームチームです。

開発の軌跡

え?まだいらっしゃったんですか?

うーんそうですねぇ。ではthreeの開発の軌跡なんかを披露させてください。

最初の最初のきっかけはらんま1/2

これは僕がゲームボーイの「らんま1/2 格劇問答!!」を遊んでいる時でした。

このゲームはクイズとバトルが混ざった不思議なゲームなのですが、バトルについては必殺技とパンチと防御が選べるターン制となっています。

必殺技 vs 必殺技はどちらもダメージを受けるのですが、必殺技 vs パンチではパンチ側が無効化されてしまいます。

必殺技 vs 防御は単純に防御となりダメージ軽減です。

無効化されたりされなかったりでよくわからなかったのですが、めちゃくちゃ強い最終ボスの局面でやっと、3すくみが働いているんだと気がつきました。

3すくみってまだまだやりようがあるなぁと気づいたきっかけでした。

ということで、必殺、攻撃、防御でプログラムでモックアップを作ってみたというのが最初の始まりでした。

防御は攻撃できないが必殺を守れる、などなど考えてみたものの、

守るだけのカードなんて気持ちよくない!それに、必殺と攻撃はどっちが強いの?的なニュアンスが他人には伝わりきらない

ということですぐにこの形式はボツになりました。

ということで、シンプルにじゃんけんにしてみて頭を整理しようとしたのが最初のスタートでした。

正直、これだけでも十分遊べる代物でした。

あいこのとき、どうするか問題

あいこのときはどうするのか。

あいうちか、無効か。いやいや対戦が間延びする。

攻撃力が強い方が勝ち?いやいや最強すぎる。

ハゲタカのえじきを代表とする、シンプルゲームデザイナー、アレックスランドルフであればどうするだろうか、と考えてみたところ、

バッティングしたらコストが低い方が得をするべきだろうと思い、

「あいこのときは小さい方が勝つ」というルールが誕生しました。

1 > 2 > 3の構図。

これにより、最強の生まれづらい3すくみに、最強がうまれづらい逆推移的なルールとがばっちりハマりました。

世界観をどうするか問題

知人にテストプレイしてもらったところ割と好感触でした。ゲームメカニクスはシンプルで申し分ないと感じました。

しかし問題は世界観です。

ほぼ必ずと言ってよいほど、「あ、限定ジャンケンだね」と初見で言われてしまうのです。

限定ジャンケンとは、漫画カイジに登場する、著名なカードゲームです。

ジャンケンの手がカードになっている時点でそう誤認させてしまうのです。

わかりやすいのですが、ジャンケンというモチーフは使えそうにありません。

ここから試行錯誤がはじまります。

ファイヤーエンブレムにならって武器にしてみました。

しかしながら、どの武器がどの武器に強いのか、あまり直感的ではなく、脳内変換がストレスになっていました。

じゃあジャンケンモチーフも同時に掲載してみたらどうだ?などと今思えば野暮な試行錯誤をしていました。

古来日本では、虫拳というジャンケンが存在したらしいです。

ということで、虫拳のヘビ、ナメクジ、カエルを使ってみました。

うん、馴染みがなさすぎてさっぱりわからない。

では火水草のモチーフを使ってみるか、ということでそれっぽいモンスター(ぴぽや倉庫さまより拝借)を貼り付けてみました。

うーん、わかるようなわからないような・・・。

どうも直感的ではありません。まぁ考えればわからなくもないのですが、

勝ったのか負けたのか、瞬時にわからないと気持ちよさにつながらないので、直感的ではないのは問題です。

絵あわせの発想

そして半年。

もう諦め始めて、積極的にモチーフを探すことはしなくなっていました。

あるとき、2つのカードをつなげて絵を完成させるようなカードゲームをたまたま目にしました。

「3すくみで勝利したときのみ浮かび上がる絵が作れたらいいのでは?」

という発想のもと、threeの突き刺すカードデザインが誕生しました。

特許出願

ゲームが完成し、ゲームマーケット2021秋への出展も決まりました。

ですが、全くの無名なチームですので普通に販売したのでは誰も見向きもしてくれないでしょう。

おそらく売れないだろうと思いながら、この記事を書いています。

であれば、主戦場をゲームマーケットではなく、中長期的な作品にしたい!と思い、

考えに考え抜いた3すくみのカードデザインを対象に、はじめての特許出願に挑戦してみました。

知りませんでしたが、特許というのは公開されてしまったものは出願できないルールでして、

特許出願をするということは、出願が完了するまでこのカードデザインを公開してはいけないということになります。

よって、ゲームマーケット2021秋のHot Dogのカタログはこんな感じになっています。

カードデザインが使えないので、情報量が圧倒的に足りない、なんのゲームなの?というカタログになってしまいました。

2021年10月末で特許出願が終わりましたので今はこうして解禁しつつ、遅れたプロモーションを取り返そうとしてこの記事を書いています。

新しいことは楽しい

今回のボードゲームthreeの制作にあたって、新しい学び、新しい挑戦が山ほどありました。

threeを遊んで楽しんでもらいたいという思いもありますし、

私たち自身の奇跡としてこうして文書で記録しておこうと思ったこともありますし、

新しいことに挑戦する楽しさを今この記事を読んでいるあなたに伝わればいいなぁと思いながら、

いまこうしてこの記事を書き記しました。